桐野夏生 集英社
帯で使っている「怪物」というキーワードから、『グロテスク』のような作品を想像しながら読んだ。確かに、「自分の中にもそういう部分があるのかも知れないが、やはりかけ離れた女」という意味では 『グロテスク』に近いものがある。
我慢すること、ルールを守ること、他人の権利を侵さないこと…など、生きていく上で守っていかなければならない決まり事は沢山あるが、それを守っていたら生きていけなかった女の物語である。
私の好みだけで言うと、主人公がもっと賢くて、この作品で迎えるラストとは逆の方向に行ってくれたらな…とも思う。しかしそれではテーマそのものが変わってしまうのだろう。あるいは、東野圭吾さんの『白夜行』に近くなってしまうのか。
ISBN4-08-774729-8 ¥1400
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