島田荘司 東京創元社
本格ミステリを読む醍醐味は、およそ実行不可能と思われる謎を探偵役が鮮やかに解明するところにあると思っているが、本書はその謎が次から次へと畳みかけるように読者に提示され、ラストにそれが一気に説明される快感がある。
残念なことに説明されきれない描写などもあり、また、トリックそのものについても若干疑問に思う部分があったが、少なくとも読んでいる間にはそんなことを忘れさせるパワーを持った作品だと思う。
著者が後書きでも言っているように、ブロードウェイ黎明期の古き良きニューヨークの描写やセントラルパークの歴史など、観光している気分で楽しめる作品でもあった。
ISBN4-488-01207-8 ¥2857+税
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