先日セルシスから提供されたCLIP PAINT Labは、お試し版ということもあってか、レイヤーを保持したまま他の画像ファイル形式で保存したり書き出すことが出来ません。対応形式の中にはPNGなどもあるのですが、残念ながら透過には未対応なんですね。そして画像アプリケーションの定番、Photoshop形式にも対応していません。(しろよ)
CLIP PAINT Labだけで絵を仕上げるなら、その中ではもちろんレイヤーを保持できますし、CLIP PAINT Labの拡張子、「.lip」のファイルでなら後で開いてもちゃんとレイヤーは保存されます。でも、カラーイラストって最後の最後に細かいエフェクトをかけたくなったりしますし、現状ではPhotoshop以上にいろんなフィルタをかけられるアプリケーションは存在しませんから、できればレイヤーを保持したままPhotoshopに持って行きたい!
というわけで、レイヤーを保持したまま無理矢理Photoshopで加工する方法を考えてみました。まず、これがCLIP PAINT Labで描いているときの状態です。実験用なのでレイヤー数は少なめですがこの段階ではもちろん各レイヤーは透過状態で、線や色だけが塗られています。(CLIP PAINT Labは「台紙」となる白いレイヤーはユーザーが操作できないようになってますね)
絵が描けたら、それをPhotoshopで開ける形式に「別名で保存」します。このとき、全部のレイヤーが見えている状態で保存すると、それが結合されて1枚の「背景」レイヤーとなってしまいます。ですから、レイヤー1枚以外は不可視にした状態で、レイヤーの枚数分だけ「別名で保存」をします。形式は取りあえず非圧縮のファイル形式であるTiffにしました。
これは主線レイヤーだけを表示させたもの。これをわかりやすいファイル名で「別名で保存」します。(レイヤーパレットの左端の目のアイコンがついているレイヤーが可視状態です)
これをレイヤーの枚数だけくり返します。
別名保存したTiffファイルを全てPhotoshopで開き、同じサイズの新規ファイルを作成してそこにどんどんドロップしていきます。(レイヤー2が見当たりませんが、間違えて同じのをドロップして削除したので気にしないでね)
さて、この状態では各レイヤーは全て不透明な白地に線画があったり色が塗られている状態。つまり、一番上に重ねたレイヤーが下のレイヤーを隠してしまいます。レイヤー1が主線ですが、当然塗った色は見えません。全てのレイヤーモードを「乗算」にすればちゃんと透けますが、主線レイヤーは下の色に影響されたくないですよね。そこで、古くからPhotoshopでイラストを描いていた人がよくやっていた、白の削除の方法を使います。これは紙に描いた絵をスキャンしてPhotoshopで加工するときなどにもよく使われる方法なので覚えておくと便利です。
まず、チャンネルパレットを表示させ、適当なチャンネルを選択して右クリック→レイヤーの複製をし、アルファチャンネルを1つ作ります。
次に「選択範囲を読み込む」わけですが、このときダイアログのウインドウにある「選択範囲の反転」にチェックを入れます。読み込むのはもちろん先ほど作った新しいアルファチャンネルです。(この場合は「ブルーのコピー」)
これで、主線の線画が選択されました。パソコンの画面上では部分的にしか選択されていないように見えるかもしれませんが大丈夫です。レイヤーパレットに戻り、新規レイヤーを作って(上の画像ではすでに「レイヤー7」が作られています)描画色(好きな色でいいですよ)「塗りつぶし」をします。これで透明なところに主線が描かれたレイヤーが作れました。塗りつぶしは2回くらいくり返した方が線がくっきりしますので、お好みで調整してください。また、この方法だと好きな色の主線が作れます。
主線が透過されたら彩色のレイヤーモードを「乗算」にします。乗算にすると若干色味が変わったりする場合がありますが、そこは各自調整し、何か描き加えるときは新規レイヤーを通常モードにしてそこで作業した方が重なった部分が濃くなったりしないのでお薦めです。もちろん、主線レイヤーも「乗算」で出来上がりに不満がないのならそれでOKです。
というわけで、CLIP PAINT Labで描いた絵を強引にレイヤーを保持させてPhotoshopに持って行く方法でした。こんな手間をかけてまでCLIP PAINT Labで描かなくてもいいじゃん! と自分でも思いますが(笑)、ちょっとやってみたかったので記録しておきます。早くCLIP PAINT Labの製品版が出るといいのですが。(現時点では製品版となるのか、IllustStudioなどのソフトに組み込まれるのかなど、セルシスからの発表はありません)
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