石田衣良 文藝春秋
人気シリーズ『池袋ウエストゲートパーク』の最新刊。このシリーズは石田衣良氏の作品を読むきっかけになったので特別な思い入れがある。ドラマも面白かったが、原作もとてもいい。主人公のマコトはドラマよりちょっぴり真面目そうだが。
ただ、マコトが池袋ではすでに「無敵」になってしまっているのが読者としては少々ジレンマを感じる。もちろん、いろいろなつてを辿って揉め事を解決するマコトの姿にはカタルシスがあるし、それを期待してもいるのだが、その矛盾は長いシリーズが内包する問題と言えるだろう。
収録されている作品のモチーフは、まさにリアルタイムで表面化している数々の社会問題である。それを著者自身の解釈で作品に消化させている手腕は見事だと思う。軽妙な文体の中に著者の試みや心意気が感じられて清々しい。
ISBN4-16-323770-4 ¥1524+税
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