我孫子武丸 文藝春秋
我孫子氏13年ぶりの書き下ろし長編。読みながら「どうも登場人物に嫌な印象がつきまとう」と思っていたが、こういうラストならそれも納得できる。若干「騙された感」が残ってしまうので、素直に納得と言えるかどうかは別の問題なのだが。
新興宗教の団体をこのように描いた作品は他にもあると思うが、決着の付け方は珍しい部類に入ると思う。しかし読後感が犠牲になるのは否めない。第三の登場人物がいて、さらに別の解決方法を提示してくれたらもっと気持ちよく読めたのではないかと思ってしまった。
しかし男性二人の心理描写は秀逸。世のオトコはこんな風にものを考えているのかと感心させられる点はやはり、著者の力量なのだろう。
ISBN4-16-323810-7 ¥1762+税
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