三雲 岳斗 光文社
15世紀の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチを探偵役とした本格ミステリ短編集。パズラーの要素が満載で、安楽椅子探偵の様相も呈している。
中でも「二つの鍵」は、論理ミステリの手法をとった傑作である。モチーフに「箱と鍵」が使われているために、どことなく森博嗣氏の「封印再度」を彷彿とさせる。「封印再度」のトリックは、個人的に日本で最も美しいトリックの一つだと思っているのだが、開かない箱というものはなぜこんなにも魅力的なのだろうか。
探偵役のダ・ヴィンチが「美しい男」として描かれているのも楽しい。しかし、彼の容姿がビジュアルで確認できないのは小説である以上諦めるとして、作中に登場する絵画や小道具、トリックの説明などに図版の類が全くないのは残念である。
大変面白かったので、ぜひ、シリーズとして続刊を望む。
ISBN4-16-324380-1 ¥1300+税
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