今日の午前中に、悲しいニュースを知ることになりました。
病気と闘いながら作家活動を続けていらした栗本薫さんが、昨夜亡くなったということです。まだ56歳という若さでした。
お若いですが、作品数はどんなベテラン作家も適わないくらいの多作家で、ジャンルも評論、ミステリ、SF、時代物と多岐にわたり、他にも脚本やテレビ出演など、普通の人の何倍もの人生を生きられたのではないかと思います。
江戸川乱歩賞を受賞された『僕らの時代』は、長らく冬の時代だったミステリの世界に光を与えるものでもありましたし、『真夜中の天使』では、誰も触れなかったジャンルを切り開き、『グイン・サーガ』で日本にヒロイックファンタジーを根付かせました。中島梓名義の『コミュニケーション不全症候群』は、出版された時期が間違っているのではないかと思うくらい、現在の社会を予言したような洞察に溢れています。
もちろん、名探偵名鑑に伊集院大介という人を残してくれたことも忘れられません。
栗本薫さんの『仮面舞踏会』を読んだときには初めてパソコン通信というものを知り、私がMacを買うきっかけの一つになりました。
『仮面舞踏会』には、タイピングの早い登場人物が高速でチャットをするシーンが出てきます。チャットにはタッチタイピングが必須なんだと思った私は本物のキーボードを触る前にタイプライターの教則本を買い、付録の紙のキーボードで位置を覚える練習を始めました。そのときの訓練は確実に仕事の役に立っています。
親しくお話をする機会には恵まれませんでしたが、とても尊敬している作家さんでした。
心からご冥福をお祈りいたします。
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