本日付で、iTunes AppStoreに日本の書籍に最適化されたiPad用書籍ビューワアプリ、i文庫HDがリリースされました。
実はこのi文庫HDの開発のお手伝いをしていたApple NOIRのDark局長さんに頼まれ、サンプル表示用のデータを提供していました。
Apple NOIR:日本発『i文庫HD』〜驚嘆のiPadアプリとその可能性
これは、『パズルゲーム☆トレジャー』2巻に同時収録された『28℃の扉』という読み切り作品です。ご覧のように、ページをめくったときにちゃんと裏うつりがあって、「本を読んでいる感覚」がとても大事にされているアプリです。
こちらはiPadを横置きにして見開き表示にしたところ。もちろんこの状態でもページをめくるアニメーションが付き、動作もとても軽いと教えていただきました。
実はこの「動作」に関して、さまざまな紆余曲折がありました。漫画の原稿は普通B4版の紙に描かれるので、私もComicStudioEXで作業するときの原稿用紙サイズはB4です。解像度は600dpi。それをそのままのサイズでJPEGデータに書き出しすると、5138 × 7441pixelと、かなり大きいものになってしまいます。
また、iPadは画面の縦横比がB版ではなく、132dpiの768 x1024。これは漫画の原稿よりも幅が少し太めです。なのでこのリサイズのことも考えなければなりません。縦横比を計算すると、原寸の場合は横幅が5605pixelくらいでいいだろうと思ってPhotoshopでカンバスサイズを変更しました。(40ページあるのでアクションを組んでバッチ処理をしました)
はじめにまず、原寸に横幅を追加して解像度600dpi、7441 × 5605pixelの巨大なデータと、解像度150dpi、2024 × 1536(普通に書き出すと1412) の小さめのデータをお送りして試していただきました。
予想通り、大きい方は読み込みにも時間がかかりますし、ページめくりの動作も重くなるというご報告。そして150dpiの方は動作はとても軽いが少し画面を拡大するとシャギーが目立ってしまうとのこと。
話が前後しますが、この「書き出し」は、色深度を「グレースケール」にし、トーン設定を「全て網点で出力」です。ここがちょっとポイントで、設定の中には「全てモノクロの網点で出力」というのもあり、こちらを選んでしまうと画面のドットやモアレが出る場合があって綺麗に表示されませんでした。
続いて、解像度300dpi、3720 × 2803 と解像度180dpi、2232 × 1681のデータを作成。これもトーン設定をあれこれ変えながら何度も試してもらいました。すると「300dpiでも若干重い。180dpiならサクサク」というお返事が。
私の出した結論は、180dpi、2232 × 1681pixelでグレースケール書き出し。トーンの設定は「網点で出力」。また、予めグレーで配信されることを意図して描かれた作品であれば「全てグレーで出力」。どのトーンも意識してプロパティパレットで設定済みならば「レイヤー設定に従う」というのが望ましいということです。印刷用データの定番である「全てモノクロの網点で出力」はお薦めできません。
こちらは本棚の画面です。i文庫HDに本として登録するには、書き出したJPEGデータを「01.jpg」から始まる連番のファイルにし、zipで圧縮する必要があるのですが、表紙はその中に含まれないので別に画像を用意します。今回は画面に色を塗る時間はありませんでしたが、せめてちょっと色味を持たせようと思って急いで表紙っぽい画像を作ってお送りしました。こちらはiPadの素のサイズ、768 x1024 です。
というわけで、自分のiPadはまだないのに、ひょんなご縁で書き出しサイズを知ることができました。このデータはすでにコミックスに収録されている作品なので配布するわけにはいかないのですが、近いうちに描き下ろしの短い漫画をiPadでご覧いただけるようにするつもりです。
もちろん、今月の仕事が終わってから着手するんですけど。
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