境三保さんが解説を書かれている事から紹介されていた『毒見師イレーナ』を読みました。実は私はファンタジーがちょっと苦手で、最初のページに架空の国の地図が書かれているとガクッとモチベーションが下がってしまうんですが(部屋や館の見取り図なら大好物)、これはまさにその「架空の国」のお話です。
食べるものなどは現実のものと近い世界で(パンケーキとか出るし)、化け物なども出てきません。魔術師は出ますが、どちらかと言えば超能力者に近いかな?
でもまあ、そんなことはどうでもよくて、とにかく圧倒されるほどの主人公の運命…ありていに言って不幸なんですが、そこから全く目を離すことが出来ませんでした。
そもそも「殺人罪」で地下牢に囚われていて死刑目前。そして命と引換に命じられたのが国の最高司令官の毒味役(タイトルでは「毒見」ですね)という設定がすごいです。普通この手の話だったら殺人はえん罪ですよね。でもこの主人公は本当に人を殺してます。理由などは追々説明がありますが、その理由や彼女が追い詰められていく課程はどちらかと言えばミステリの文法。とても面白く読みました。
同じ主人公で続編が2本あるそうですし、同じ世界での話もまだあるそうなので、いずれ翻訳が出てくれることを期待しています。
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