芦辺拓 文藝春秋社
恥ずかしながら、あとがきを読むまで『紅楼夢』という中国の古典の存在を知らなかった。知らずに読んだので、どこからどこまでが既存のエピソードなのかもわからない。また、馴染みのない中国名(また、登場人物が多いのだ)に四苦八苦しながら読んだ。
頑張った甲斐があったと思う。
本格ミステリにおいて、トリックは要となるものだが、凝ったトリックを登場させる場合、「なぜ犯人はそんな手間のかかる細工をしなければならなかったのか」という理由付けに作者は苦しむ。特に、ダイイングメッセージなどのシチュエーションは難しい。(本作品には登場しないが)
しかし、芦辺氏はそのジレンマを鮮やかに逆手に取った。なるほど、『紅楼夢』に材を求めたのも頷ける。
余談ですが、巻末に付せられている著者インタビューの中で、“主人公たちの高校時代を主軸として、社会人や中学生の頃も描かれるのですが、それらは常に「現代」として描かれている…”、“ある有名なシリーズ漫画”というのは、『パズルゲーム★はいすくーる』のことですよね?>芦辺さん
ISBN4-16-321370-8 ¥1857+税
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